激しい頭の痛みに目が覚めた。

 体を起こし、自分の体が視界に入ったことで声を上げそうになった。

 だって、私の体は縮んでいて中国っぽい感じの服を着ているから。

 何で何で何で何で?

 パニクる私は、変な青年のことを思い出した。

 ここは、あの彩雲国?

! 目が覚めたのね」

 女の甲高い声が頭に響く。

 黒髪の知らない女だ。

 私を見て泣き笑いをし、むちゃくちゃに抱きついてくる。

「ああ、良かった。きっと、奥様が助けてくださったんだわ」

 テンションが上がっていく女に、私はついていけない。

 困惑している私に気づかず、女は喋り続ける。

「まったく、酷い人たちだわ。奥様が亡くなって呆然としている旦那様たちから、金品を強奪していくなんて」

 ブツブツと呟く内容にハッとした。

 ここは、あの子の邸?

「あまつさえ、目撃したを殴りつけるなんて」

 え、私、殴られたの?

 頭痛いのって、そういう理由なんだ。

「あの、お姉さん誰ですか?」

 とりあえず、直球で聞いてみた。

、どうしたの?」

 きょとんと腕の中にいる私を見る。

「どうして、私の名前知ってるんですか?」

 は私の芸名で夢の中じゃなくて、前世での名前。

 なのに、この女の人は私の名前を知っている。

 呆然とする女の人は私の体を放したので、布団から出て距離をとる。

 部屋の隅まで来て、もう一度女を観察する。

 黒髪の平凡な容姿をしている。

 少々垂れ目でおっとりとした雰囲気を出していて、服装からして高いものではなく、どちらかというと使用人のようなもの。

 

 私の名前を呼び捨てにしていたことから、親しい仲、あるいは肉親かもしれない。

 なら、私も使用人なのだろう。

 今がどういう状況なのか分からない。

 分からないということは恐怖を呼ぶ。

 幼くなったということによってか、精神面でも幼くなってしまうようだ。

 涙腺が緩み歯がガチガチと鳴って体が震えてしまう。

、お母さんが分からないの?」

 女、いや、お母さんが青ざめる。

「そんな、嘘でしょ? 冗談は……私、どうしたら」

はどうでしたか?」

 少年が入ってくる。

 部屋の隅で震える私、青ざめて今にも倒れそうなお母さん。

 異様な様子に少年が眉を寄せる。

、一体」

「静蘭。が私を誰って? が……」

 静蘭。

 その名前に私は身を固くする。

 原作キャラの静蘭だ。

 本当に私は彩雲国に来てしまった。

 その事実がショックで私は泣き出してしまった。

 もう、分かんない。

 これから、私はどうしたらいいっていうのよ!!



  

2008.1.12