ふ、まさかこんなとこで会うとは思わなかったさ。

「絳兄上、ソレなんですか?」

 ビシッと指差す。

 絳攸と楸瑛、静蘭と共にやってきたのは、何と紫劉輝だった。

「む、そなたこそ誰だ?」

 ソレ扱いしたせいか、ムッツリと眉を寄せて私を見る。

『誰だ』って?

 邵可の息子が自分の家にいちゃ悪いのかよ。

 あははははー。

 表面上はにっこりと笑いつつ、薄ら寒い空気を作り出してやる。

 ビクリと体を震えさせたのは四人。

 つまりは、邵可以外の人間だ。

「あ、、落ち着け。こいつは……あー、この方は」

 今、絳攸ったらこいつって言ったよね。

 しかも、語尾濁らせてるし。

 まあ、自国の王様だからなぁ。

 紹介するかしないかは迷うよね。

 ってか、普通紹介なんてできないよな。

「主上なんだよ」

 とか思ってたら、絳攸の隣にいる楸瑛があっさりと答えた。

「へーはーふーん、そ−ですか」

 全く感情の篭ってない返事を返し、ジロリと劉輝を睨みつける。

「私は紅と申します。主上とあろう方が何用で我が家におられるのでしょうか?」

 トゲトゲトゲ。

 丁寧に喋りながらも、悪意をこめることを忘れない。

 多分、っていうか私はこの男が好きじゃない。

 小説を読んでるときは好感が持て、幼少時代に同情をしたが、今の私にとって小説だった舞台は現実だ。

 王位争いを経験してたくさんの人が亡くなった。

 どうして、憎しみを消せるだろうか?

 ってなわけで、劉輝には厳しくいきます♪

「紅? まさか、行方不明だった邵可の?」

 劉輝はクルリと邵可のほうへ向く。

 邵可といえば、満面の笑みを浮かべている。

 後光が差しちゃいそうなくらい神々しいほどの笑顔だ。

「そうです。は私の息子で秀麗の弟です」

「お、弟?! てっきり、兄かと思ったぞ。それにしても、似てないな」

 真顔でキッパリと言うなや。

 秀麗は私と似てないといわれるのが嫌いなんだぞ。

 引きつり気味の私の笑顔に気づいたのか、静蘭が素早く話題を摩り替える。

「で、どうします? お三方」

 あ、そーだね。

 そーいや、そんな話もしてたね。

 燕青から応援よろしくってさ。

 もちろん、三人は行くみたいだ。

 なのにさ、私が入ってないのはひどくないか?

 足手まといの絳攸が行くんだ。

 一応剣の心得がある私が行ってもいいはずだ。

「静蘭、誰か忘れてない?」

様、危険ですよ」

 困った表情をする静蘭に絳攸と邵可も頷く。

 何か二人とも私を子ども扱いしてないか?
 
「一応旅をしてたから剣の心得くらいあるよ。それに、私がいれば黄邸には正面から入れるよ」

 ちょっと前まであそこで働いてたから、ちょろいもんさ!

「どうせ燕青のことだ。正面以外は罠がたくさん仕掛けられてるよ」

 まあ、約三名は大丈夫だろうけど、絳攸が心配だよね。

「わざわざ解除していくのは時間の無駄だよ。怪我するかもしれないし」

「……分かりました。一緒に行きましょう」

 静蘭が折れた。

 ま、静蘭は燕青という男を知ってるからね。

 さ、黄邸へレッツゴー!

  




2007.6.16