――――!

 誰かの声が聞こえる。

――――!

 私は死んだんじゃなかったのか?

 目を開くと、知っている顔が……。

「おぎゃあ、おぎゃあ(ええええー?!)」

 って、赤ん坊の声?

「おお、よしよし。かわゆいのぅ」

「生まれたのかい?」

 男が私を覗き込む。

 やたら周りが大きく見えるのは気のせいか?

 まさか、私が赤ん坊になったのか?

 そんな、馬鹿な……。

「ほーら、秀麗。弟だよー」

 だらーんと、1才程度の子が男によって突き出される。

 嫌な予感がしてきた。

 この糸目の男は、今何と言った?

 私の聞き間違えでなければ『秀麗』って……。

「のう、邵可。名は何とす?」

 女性……私を産んだ母親は男に笑いかける。

なんてどうだろう?」

「さすが、我が背の君じゃ!」

 あっさりと私の名が決まる。

「紅。それがそなたの名じゃ」

 言い聞かせるように言う。

――さすがに、『紅』の姓に『秀麗』と『邵可』なんて名は一つのことしか浮かばない。

 どうやら、私は『彩雲国物語』の中にトリップしてきてしまったらしい。

 好きな小説だから嬉しいが、どうせなら女の子が良かった。

……じゃなくて、秀麗に弟なんていなかった。

 何々?

 一体どうなってんだよー!!







2006.9.25
修正2007.9.2