帰省の裏側

「黎深様、何者かが邵可様の邸で寛いでいますがいかがいたしましょう?」
黎深「何だと? 即刻始末しろ!」
百合姫「あら、貴方。お待ちになって」
黎深「何だ? 私は今忙しい」
百合姫「邵可義兄様に仇なす者は、わたくしにとっても敵ですわ。一瞬で殺しても意味がありませんでしょう? やるからには、ジワジワと追い詰めて苦しませたり、どの手の内の者か調べて一族もろとも……うふふふふ」
黎深「ふふふふふ、それもそうだな。その者に監視をつけて、まずは何者なのかを探ってこい」
「はっ」



影たち

影1「おいおい、こいつ、部屋に閉じこもりっきりだぜ?」
影2「なあ、ここって誰の部屋なんだ?」
影3「あー、確か行方不明になった方じゃねえ?」
影4「あ、まさか、その方だったりして」
影1「ないない」
影2「いつの話だと思ってんだ?」
影3「十年前だろう? あいつはどう見たって十五よりは上だろ」
影4「う〜ん、違うかぁ」
影1「そうそう」
影2「第一、仮にそうだとしても、貴陽に入った時点で連絡が来るだろ?」
影3「他の部隊の奴らが逐一チェックしてるしな」
影4「へーえ」



お勤め先は……のおまけ

鳳珠「邵可様、お久しぶりです」
邵可「うん、久しぶりだね。いつも、弟が迷惑をかけてすまないね」
鳳珠「今日は、ご子息から伝言を承ってきました」
邵可「え? い、今なんて?!」
鳳珠「ご子息から、と。彼は『帰ってきた』と伝えるように言っていました」
邵可「本当に?」
鳳珠「はい」
邵可「ありがとう。は、早く帰らなくちゃ。それでは、失礼するね」
鳳珠「はい。見つかって、心よりお祝い申し上げます」



実は……

「た、大変です!」
黎深「何だ? 騒がしい」
「正体が分かりました」
百合姫「うふふ、誰でしたの?」
「じ、実は、行方不明だった邵可様のご子息様で……」
黎深「何だとっ?!」
百合姫「何ですって?!」
黎深「ど、どうしよう。ただでさえ、鬼畜な叔父だと思われているのに「叔父上、私を殺したいほど嫌いなのですか」って言われたら……」
百合姫「そうしたら、全て貴方のせいですからね。わたくしは関係ありませんわ」
黎深「お前だってじわじわとやるって言ってただろ!」
百合姫「あら、なんのことかしら? 全く見に覚えがありませんわ」
(両者睨みあう)


結末

絳攸「ただいま、帰りました」
百合姫「きゃあ、絳攸ちゃん。おかえりなさい(抱きつき)」
絳攸「ゆ、百合姫様、は、放してください(顔真っ赤)」
黎深「――絳攸、いつまでそれの中にいるのだ?(壮絶な笑み)」
絳攸「! も、申し訳ございません。そ、それよりも……」
黎深「何だ?」
絳攸「邵可様のご子息様が見つかったそうで」
黎深「!」
百合姫「ど、どうしてそれを?」
絳攸「? 先ほど邵可様にお会いして聞きました。飛ぶように邸に帰っていきましたよ」
黎深「な、なに。兄上とお話したと?!」
百合姫「相変わらずズレてますわね。では、わたくしは玖琅様に連絡をしてまいります」
絳攸「え、え? 百合姫様、お待ちください(切実)」
黎深「私から逃げようとはいい度胸だな。ふふふふふ(玩具を見つけたように楽しそうに笑う)」
百合姫「お母様と呼んだら考えてあげてもよろしくってよ?」



2006.10.15
修正2007.9.27