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高い塀から人影が落ちてくる。 一人、二人、三人……プラス一人。 私はすかさずプラス一人こと、絳攸に駆け寄る。 「お怪我はございませんか?」 「ああ、もいたのか」 絳攸の言葉に静蘭が反応する。 「え、何故ここに?!」 「や、静蘭に藍将軍、私も会いたかった人を引っ張ってきてくれて礼を言うよ。さっすがに以心伝心の仲だよね」 ニコニコと初対面の彼に視線をやると、静蘭と燕青の顔が仲良く引きつる。 全く失礼だなぁ。 「誰だお前たちは! 兄……静蘭の竹馬の友に以心伝心の仲だと?」 「おや新顔。誰」 わざとらしいぞ、燕青。 お前も私も会いたがっていた奴だろ。 ケッと心の中で舌打ちする。 燕青の一言に名前を言おうとしていた彼をあっさりと無視して、足手まといな絳攸をナイスな言葉選びで離れに移動させる。 そろそろ戦いだ。 獲物を持つ手に力が入る。 旅をしたこの十年で使えるようになった剣。 愛用の剣ではないのが残念だが、借りた剣も中々使い勝手がいい。 「中に入っていたほうが……」 渋る静蘭は私の実力を知らない。 実力ったって旅をしてきたからそれなりに戦えるぞというくらいだ。 横でブフッと吹き出した燕青には腹が立ったので、鳩尾辺りを柄で黙らせておく。 「おふっ」 モロに入ったようだが気にしない。 「私もそれなりにできるよ。さすがに、この中では一番弱いだろうけど」 将軍職に就いている楸瑛に、数々の暗殺者たちを返り討ちにしてきた静蘭、握る棍は本気を出していなくてこの中で一番強い燕青。 ――そして、宋太傳直々に手ほどきを受けた劉輝。 敵う奴がいたとしても、南老師ぐらいだろう。 ま、邵可でもいけそうだけど、本気の燕青とどっちが強いか。 「おや、殿は二刀流なのかい?」 楸瑛は目ざとく私の武器に目をつける。 私の両手には小振りの双剣が握られている。 「今度、私と手合わせをして……」 楸瑛の言葉が終わらないうちに、空気が張り詰めた。 ハッと素早く身構える三人だが、それを燕青が押しとどめる。 「――ちょい待ち。こっち側で一人帰ってきていないのがいるから、そいつかも」 「当たり、あれ翔琳だよ」 驚く面々を無視し、小柄な人影は離れへ向かっていく。 そして、その後に続く団体さんが次々と罠にかかる。 「おーかかってる。でも思ったより少ないな? 火もこねーし」 そりゃあ、邵可と珠翠がやってくれてるからなー。 もちろん、皆は知らないことだけど。 「ま、ぼちぼちいきますか」 「こちらはただの加勢だ。お前、責任もって片づけろよ」 棍を振るう燕青に、続く静蘭。 「ちょっと物足りないかな?」 「目と鼻の先に秀麗がいるというのに、余は……余はなぜこんなところで、こんなことをしておるのだ! 今宵は、今宵は待ちに待った『夜這い』決行日だったのだぞ――っ!」 余裕の楸瑛に、怒る劉輝。 「君たち、最高に運が悪いね」 哀れみを向けて、二振りの剣を閃かせる私。 元々大した腕も無い男たちはあっさりと捕縛されていく。 ちょっと味気ないって言うかつまんない。 右の剣を横に薙ぎ、左の剣を右斜め前から斜めに振り落とす。 殺さない程度に、怪我は最小限にさせて、できれば昏倒させてやる。 「はっ!」 振りかぶってきた相手に足払いをかけて転ばせ、握っていた剣を払い飛ばす。 後ろから私を狙ってきた奴は静蘭の剣に倒され、横からやって来た男は燕青の棍で殴られ。 あっという間に全ての団体客を倒すことに成功! 本当は翔琳も参戦して邪魔してくるのだが、私がいたせいか早く終わり、縄をかけていくのを手伝っただけだ。 本人は残念がっていたが、翔琳が出てくると味方が怪我をするので良かった。 私も怪我なんてしたくないし。 大した事のない相手だったけど、三人の力の一端を垣間見れたことが収穫かな? 2006.11.3 修正2007.9.2 |